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オリコン

子供の頃はオリコン少年だった。ロリコンじゃないぞ、オリコンだ。一般に「オリコン少年」という言葉があったかと言われると多分無かったと思うんだけど、毎週のチャートの上がったり下がったりが面白くて、ラジオやテレビのヒットチャート番組のランキング表(何たらベストテンの類)を全部ノートにメモしていた子供だったので、それを端的に表現するにはオリコン少年だった、というしか無い。

土曜日はFM東京のコーセー歌謡ベストテンから始まって、日曜朝ともなるとラジオのランキング番組が各局でやっているので午前中はずっとラジオの前でメモしていた暗い子供だった。中でもランキングとして俺が一番信頼を寄せていたのがロイジェームスがやっていたニッポン放送不二家歌謡ベストテンだった。
2chのログにいい書き込みがあった。
http://that4.2ch.net/test/read.cgi/rradio/1066307238/6

番組の中ほどでロイ氏が芸能界を論評するコーナーがあって、
ある週に突然1位になった薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」について
「こんな売り方していたら直に業界はダメになる」という趣旨の発言をしていた。
結構シュートな人だと思いました。

この頃は初登場1位なんて今ほど多くなかったのだ。テレビやラジオ、有線放送による露出で売れていく時代だった。中央から発信、徐々に地方へ波及していくという、逆に地方から火がつき次第に全国区に広がる様子なんかもチャートを見ていれば読みとる事が出来る。今のように初登場1位から始まって後は落ちていくだけのチャートのどんなに味気ないことか。例えば初登場8位くらいから始まったあの曲はこの勢いなら何週目に1位を取れるんだろう?とか、先週31位今週16位のあの曲は来週ベスト10のどの辺に入ってくるんだろう?とか、長いことランキング圏外にいたこの曲に火がついてじわじわ上がってきた、とか考えるのが楽しかった。

レコード屋に行くと貼ってあるオリジナルコンフィデンスの100位までのチャート表を食い入るように眺めていた。当時はオリコンウイークリィは一般書店ルートで販売されておらず、あくまでも業界向けの業界紙で、個人が、ましてや子供が入手することは出来なかったのだ。

土日を掛けてメモしたランキングノートは行くとこまで行き着いて、全てのデータを集計してついには自分だけの総合ベスト10というのを作りだした(笑)1〜50位までポイントを割り振って、それも1位50ポイント1つ下がることに1ポイントずつ減っていくとかだと、全てのランキングに入ってくる訳ではない初登場の曲(タイムラグがある)の勢いが殺がれるので、1位50000ポイント2位25000ポイント3位23000ポイントとかわざと偏差するように設定した。この数値は当時のオリコンの売り上げ枚数にヒントを得て作成した。

80年代アイドル(松田聖子たのきんトリオの登場)の時代から初登場1位というのが増えてきてチャート変動の面白みが無くなり段々興味を失っていった。

オリコン年鑑というブツがあってだね。

オリコン年鑑〈2006年版〉

オリコン年鑑〈2006年版〉

今も毎年発売されているんだが、子供ながらに親にねだって買ってもらったよ。親もどこが面白いんだろう、なんでこの子はおもちゃとか欲しがらないんだろうと思ったことだろう。ちょうどYMOが出てきた頃でアルバムランキングでパブリックプレッシャー、ソリッドステイトサバイバー、増殖辺りが上位をランクインしていたチャート的にも一番面白かった時期の物だ。

蛇足だが今やパチンコ漫画家で有名な谷村ひとしのデビュー当時も「オリコン漫画家」とキャッチフレーズが付いていてシンパシーを感じた。