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ストリップの新人デビューの場に立ち会った

地下アイドルのお披露目ライブに立ち会ったことは何度もあるが、ストリップの新人お披露目なんて当然初めての体験である。こちら側もあちら側も、どういう感情になるんだろう?全く予想できない。

この週デビューの夏野こだまさん。劇場の営業終了後に踊り子の先輩である結さんが付いて朝までレッスンしてたとのこと。劇場所属の新人さんだからとはいえ、劇場もそこまでバックアップするんですねぇ。

 

初日。

平日にも関わらず劇場の席はほぼ埋まっていた。平日の劇場は1度だけ来たことあるけどここまで混んでいるとは想像してなかった。やはり新人デビューというプレミアム効果は大きいのか。

 

こだまさんの出番は2番目。暗転して静寂に包まれた劇場に照明がつき、ステージに立つこだまさんの姿が浮かび上がる。ステージに出てきたこだまさんはまだまだ化粧っ気が薄く、踊り子どころか渋谷の街にもあんまりいなさそうな「普通の女の子」なルックス。そして宣材よりもかわいい(写真より実物の方がかわいいのはストリップあるある)。

 

「こんな子が脱ぐのかぁ・・・」とは偽らざる心からの感想。

 

約50名ほどの客を前に一糸まとわぬ姿になる、その非日常的なシチュエーションと初めて舞台に立つ緊張でガチガチになっているのは容易に見てとれる。演目が進行していくにつれてこちらも、何かアクシデントは起きやしないか、無事最後まで終われるのか、そもそも見ていいものなのか(いいんだけど)、見てる方ももう心臓ドキドキである。

しかし、拙いながらも一生懸命踊っているのを見ているとだんだんと平静で見れるようになってきた。あ、この子は大丈夫そうだ、と。デビュー週で会場の客全員が見守って応援している感じが自分にも伝わってきてなんだか暖かい。自信なさげで足もまだまだ高く上がらないが、硬い動きながらも約20分間の演目を無事演じきった。

 

いやぁ立派なもんです。さすがにオープンショーはポーズ決めるだけでいっぱいいっぱいでチップを見落としてたりしたけど、姐さん方だって初出しの演目や久しぶりにやる演目は相当緊張するって言うし、80点くらいあげてもいいんじゃないかな。いいものを見せてもらった。

 

──それから10日が過ぎ、楽日*1を迎えた。単純計算で1日4回、10日で40回ステージに立った訳だ。

単純な比較にはならないが、新人地下アイドルで40回ステージ立つって相当な日数がかかる(早くても数ヶ月~半年)。短期集中で同じ演目を繰り返し演じることでどんどん改良と進化がなされていくのだろう。ここに本番が何よりの練習であるという踊り子さんの強みがあると思う。

初日と比べるとステージに立った時の雰囲気はだいぶリラックスしているように見えた。視線はより遠くを見るようになり、客席を見渡す余裕もでき(ちゃんと見れているかはさておき)、演目の振り付けもポーズを切る位置を少し手前に持ってきて見やすくしたりと改良の跡が見られる(まだまだ”こなしてる”レベルだが)。名入りのハッピも作ってもらったようで既にいっぱしの踊り子感が出ている。

 

撮影タイムで「ステージ楽しめた?」と聞くと「楽日まで毎日すっっっっごい楽しかったです!」と屈託のない笑顔を見せてくれた。その笑顔は全然社交辞令のそれではなかった。うん、本人が飛び込んだ世界で楽しめているのが一番。こちらもいいデビューに立ち会えてよかった。

 

これから一人の踊り子として全国の劇場(と言っても10軒に満たない)を回る巡業の旅が始まるんだろう。またホームに帰ってくる日まで、さらなる成長を期待してしばしのお別れ。

*1:公演の最終日、いわゆる千秋楽