元々Perfumeはあんまり好きではなかった。というとちょっと語弊があるな、いわゆるかわいさの表現としての安易にピコピコなテクノを採用するのが嫌だった。Perfumeの登場は俺にとって非常に分かりやすかった。基本的にアイドルがテクノをやってみました、っていうのは許せる。でもテクノを売りにされるとちょっと複雑だった。それはPerfumeというアイドルの存在よりも、サウンドプロデュースしている中田ヤスタカの問題も大きかった。
子供の頃は坂本龍一が好きだった。B-2UNIT、WARHEAD辺りの。ただ、ある瞬間から坂本龍一がもの凄くテクノを舐めてるように見えだし、段々それが気に入らなくなってきた。特に坂本龍一が作・編曲した「子猫物語」。クラシック出身だった坂本龍一はアイドル歌謡テクノポップなんてこんな感じでピコピコ作ればいいんだよ的なチープさを押し出していたのが舐められているようで非常に気に入らなかった。
Perfumeを初めて聞いたのはおそらくモノクロームエフェクト。
そのアイドルアイドルしたピコピコっぷりが鼻に付いたのであまり興味が持てなかった。ジューシィフルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」のカバーもその選曲の狙いっぷり・直球なアレンジに安易さが伺え、まだまだだと思っていた。中田ヤスタカにあの日の坂本龍一の姿が重なる。
その後、原宿アストロホールでPerfumeのステージを見る機会に恵まれる。この時もそんなに興味なかったのだが、唯一「Perfume」に惹かれる。ぱっぱっぱっぱっ♪ですよ。テクノと言うよりアッパーなアイドルソングです。興味なかったものがある切っ掛けで惹かれるようになると、今まで嫌いだったものがちょっとずつ肯定出来るようになってきて次第にライブに行き出すようになっていった。
ただ、それでもどうしても引っ掛かる事が残っていた。それはエフェクトを多用したいわゆるロボットボイス。極端な話を言えば「ボーカル誰でもいいんじゃん!」って話。これには異論があるだろうが、もちろんPerfumeそれぞれのパーソナリティは魅力的だ。ただ、パーソナリティは付加的なものであってやはり楽曲あってのPerfumeであるというのを踏まえて欲しい。
新曲をリリースするたびに増えてくる、もはやマイクの生声では歌えない楽曲の数々。次第にオケに合わせた口パクステージが増えてくる。それはライブ行き出すようになってから、そして今でもずーっと引っ掛かってることだった。
http://d.hatena.ne.jp/aniota/20070514/1179081663
Perfumeで不満なのが「所詮オケ*2」ってのがあって、BREMENのようにステージにエンジニアがいるってのはそれだけでライブに説得力があるんだよな。
以前BREMENのステージを見てこう思った。アーティストであるなら、ステージの説得力が欲しい、と俺は思っている。
そして、そこへ出てきたのがAira Mitsukiだった。Perfumeの影響というのは多分に今の音楽シーンに反映されているし出て来るべくして出てきたアーティストではある。とにかくデビュー曲の「カラフル・トーキョーサウンズ・NO.9」にしてもエフェクトバリバリのボイスで、それなりに雰囲気は楽しめる。が、やはりAira Mitsukiでなくても誰でもいいのではないかと思ってしまう。テクノなビジュアルで囲われた彼女の個性はどれほどアピール出来ているのだろうか。Aira Mitsukiのエフェクターを通した声は人々のココロに通じているのだろうか。6325人の中から選ばれた彼女にとってそれは望んだ事だったのだろうか。
- アーティスト: Aira Mitsuki,TO-WEST,Hammer franky
- 出版社/メーカー: FARM RECORDS
- 発売日: 2007/08/08
- メディア: CD
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